Alice in chainsの新作「Black Gives Way To Blue」はやっぱりAlice in chainsだった

Black Gives Way to Blue

Black Gives Way to Blue

発売日からちょっと遅れてAlice in chainsの新作がamazonから届いた。
購入したのはボートラ無しのUS輸入盤。新ボーカルのウィリアム・デュヴァールに申し訳ないんですけど、Down in a holeはレイン版が聞ければ良いかということで、あえて輸入盤を選択。

個人的には、Alice in chains=レインの声とジェリーの楽曲であり、正直、今から一年前に新作を出すとのニュースを聞いたときは、昨今ありがちな「往年のバンド復帰」を想像してしまい、果たして内容に期待していいものか不安も残ったけど、嬉しいことに、そんな心配もただの杞憂に終わったようだ。

アルバムに先行して公開された“A Looking In View”で感じた予感通り、「Black Gives Way To Blue」の楽曲クオリティは、作曲のみならず、演奏、ミックス等々、まったくもって「往年のバンド」などでなく、現役の気合いを感じさせるに十分な素晴らしさだった。

そこにあるのは、たしかに“あのAlice in chains”の現在だし、ジェリーには失礼だけど、ソロ作になかった“何か”がこのアルバムにはある(まぁ、ソロ作だから、そもそも別で当たり前ではあるんだけど)。

新ボーカル“ウィリアム・デュヴァール”は決してレインにはなり得ないし、安易に比較してしまえば、個人的にはやっぱりレインが一番なのは揺るぎようもないけど、ウィリアムのボーカルは、ジェリーの曲の世界観を表現するには十分な実力を持っているし、それに加え、名曲“ Heaven Beside You”を担当したジェリーの声も聞こえてくるとなれば、レインじゃないから等と文句を言う気など失せるというものだ。

レインの影に引きずられることなく、だからといって過去の自分たちと決別するわけでもなく、14年間ものブランクがあったとは思えないアルバムを彼等は作ってくれた。けれどやはり、アルバムの最後“Black Gives Way To Blue”の“Lay down,I'll remember you”というワンフレーズに、このバンドが歩んで来た道のりの遠さを思わずにはいられない。