通勤読書6/19〜25

よくここで書いているように、毎月アホのようにCDを買い漁ってるわけだが、日記に書かないだけで小説にもけっこう散財している。俺の出費のほとんどはCDと小説といっても過言じゃない。とりあえず最近読んだ本。

アマゾンに生息するサルによって媒介された珍しい寄生虫が、感染した人々の人格まで崩壊させてしまうという怖いおはなし。読んでいて村上龍のヒュウガ・ウイルスとか瀬名秀明パラサイト・イヴを思い出した。個人的には「黒い家」のほうがおもしろかったけど、「黒い家」でも顕著だった綿密な取材によるリアルな演出が秀逸で、ほんといろんなことを調べてくるなぁ(もしくは知ってるなぁ)と感心させられる。基本的に小説家を目指すような人たちって雑学博士みたいな部分があるのかと思うけど、この人の場合はちょっとすごい。「黒い家」の生保に関する記述は、とても興味深かった。次は「青の炎」を読む予定。

町長選挙

町長選挙

空中ブランコ」で直木賞を受賞して話題になった奥田英朗氏によるトンデモ精神科医・伊良部シリーズの続編。
全4編のうち、前半3編が著名人や芸能人のパロディーなんだけど、これらパロディー作品は、個人的にはちょっとイマイチ。これだけあからさまなパロディーだと、まるで風刺小説のような趣きになってしまうし、なにしろ伊良部先生があまりイキイキしてこない(このシリーズ?の場合、ここ大事)。ちなみに取り上げられたとおぼしき人物は、読売の渡辺恒雄ライブドア堀江、最後の女優は名前から判断すると黒木瞳といったあたりだろうか。基本的には人物批判というより社会情勢批判ってノリが強いけど、各著名人への先入観が邪魔して、あまり素直に読めなかった。
これらを読んでいて「ああ、もう伊良部シリーズもネタ切れかなぁ」とか思ってしまったけど、前半3作とは対象的に、表題作の「町長選挙」は、「イン・ザ・プール」、「空中ブランコ」収録の作品と比較しても、かなりの個人的ヒット。東京都であるにも関わらず、ほとんど治外法権状態の千寿島、その島で暮らす人々の生き生きとした描写、「物事、死人が出なきゃ成功なのだ」と言い放ち、相変わらずの我が儘とっつぁん坊やぶりを見せつける伊良部医学博士の微笑ましいボケっぷりに、いつのまにか心が温かくなる、そんな感じの小説でした。こうゆうちょっぴり心温まるストーリーに、やんわりと現代に対する警笛をしのばせる、こんな感じの話に弱いんです。