Anouar Brahem / Le Voyage De Sahar

Voyage De Sahar

Voyage De Sahar

またもやKCRWで聞いて気になったCDを購入したみた。
Anouar Brahemという人はチュニジア出身のウード奏者で、その手のジャンルではけっこう有名な人らしいのだが、今回、初めて名前を知った。ウードという楽器の名称も今回はじめて耳にするけど、音自体は中近東を思わせる低〜中音のフレットレスギターといった感じで、珍しいというより懐かしい感じさえする。
基本構成はピアノ、アコーディオンのトリオ構成で、前回のアルバム「黒猫の歩み」に引き続いてのトリオ構成らしい。
その内容は、タイトルにVoyage(旅、航海など)とあるように、ピアノが西欧、アコーディオンを地中海沿岸、ウードをイスラム圏とすると、まさにそれらがクロスオーバーする場所、つまり地中海を示すかのような旅情溢れんばかりのアルバムだった(実際のタイトルでは「サハラ砂漠の旅(もしくは航海)」なんで、地理的に近くてもあまり海とは関係なさそうだけど)。これをiPodなどで聞いていると、どんなに目の前の風景がムサくても、強制的に「心は地中海」である。こうゆうアルバムは、常日頃おもしろくもない風景の中で生活する身にとっては、たいへん重宝するのだ。
メインメロディーは、いわゆるハーモニクスマイナーっぽい旋律なので、どうしても「哀愁」が漂ってしまうのだけど、そこにアコーディオンとピアノが加わることによって、切なさの中にも「旅」を思わせるようなさわやかさがあるように感じた。個人的には、これにタブラなどが加われば、さらにエキゾチック感アップで面白そうとも思うけど、ウードという楽器は低〜中音が豊かで、メロを演奏すると同時にベースやパーカッションのような雰囲気も出せるようなので(奏者のAnouar Brahemがすごく上手いからなんだろうけど)、シンプルに演奏を楽しむにはこの構成が一番なのかもしれない。