Nine Inch Nails / The Slip
Nine Inch Nails の新譜がネットで完全無料配布されたので、さっそく落としてみた。
新譜リリース前の3月頃にRadioheadの新譜配信方法を批判しただけのことはあって、ダウンロードファイルをフォーマット別に用意、アートワークもPDF添付と、かなり気合いが入っている。
彼らがした正しいことは、新作で世界を驚かせて、最初にデジタル配信をしたことさ。そして、彼らがした間違ったことは、それをあんなに低い音質でやってしまったってことさ。アートワークも含まずにね。僕にとってそれは、誠意のないことに感じられるね
http://doops.jp/2008/03/nine_inch_nails_2.html
そんな批判をした彼が配信したフォーマットは下記の全4種類。
- high-quality MP3s (87 mb)
- FLAC lossless (259 mb)
- M4A apple lossless (263 mb)
- high definition WAVE 24/96 (1.2 gb)
MP3以外は、これまで使ったことのないBitTorrentというP2P用のフリーウェア経由のダウンロードになるので、下記サイトからMac用のやつを落として使ってみた。
BitTorrent
自分が落としたフォーマットは「M4A apple lossless (263 mb)」。CD並みの音質と説明されているだけあって、ビットレートは驚きの415〜1063kbps*1。なぜか曲によって設定が違うが、音数が少なかったり音域が狭い曲は低めに設定したのだろうか。もしくは、曲によってビットレートが違うのがデフォルトなんだろうか。正直、apple losslessフォーマットって使ったことないので、詳しいことはよく分からないが、ともかくすごい高音質設定ということは理解できた。
肝心の楽曲群は、これまで自分がNINに抱いて来た印象からすると、かなり聞きやすい気がする。それとも、自分の加齢によってNINでもキャッチーに聞こえるようになってきたのか。2曲目を聞いた時、なぜかVan Halenの「You really got me」を思い出してしまったが、ここまでくるとインダストリアルっていうか普通にロックだよね、という気もする(良い意味で)。結論から言うと、NIN好きな人はもちろん、Marilyn Mansonとかあの界隈が好きな人なら迷わずダウンロードすべき良質なロックアルバムであると思う。これほどのアルバムが無料で聞けてしまうなんて、ほんといい時代になったもんだ。
無料ダウンロードとか言うと、利益度外視のせいかやたらと実験的になったり、どこか手抜きになったり、はたまた、どうせ時限装置付きで有料になるんじゃ…、というような先入観があるけど、今回のNINの配信は、楽曲のクオリティ、音質、配信方法からしても、どうやら相当本気らしい。
気になるのは、果たして、これだけ手の込んだ無料配信をして採算が取れるのか、ということだけど、下記の記事とか見ると、単純な売上とかだけで判断するのは難しいのかもしれない。
Coldplay、無料の音楽がウェブサイトに大量のトラフィックをもたらすことを実証 | TechCrunch Japan
Napster批判の急先鋒だったMetallicaも、新作ではネット配信に本気で取り組むつもりらしいし*2、iTunes Storeがウォルマート抜いちゃうし、海外の音楽業界は、ぼちぼち本格的にネットに軸足が移りつつあるような感じなんだろうか。