Paul Winter / Whales Alive

Whales Alive

Whales Alive

今から15年くらい前、自分がまだ大学生くらいだったか、それとも社会人なりたてのころだったか、白ヒゲのおじさんがクジラの鳴き声に合わせてサックスだかフルートを演奏している風景を流すCMがあった。
もしかするとCMでなくTVのドキュメント番組だったかもしれないし、かなり以前の記憶なので細かいことは覚えてないのだけど、どこかの海岸の岬で、不思議に物悲しく、そして懐かしいような響きをもつクジラの鳴き声に合わせて、とても優しいメロディーを奏でるその映像が強く印象に残り、それと同時に、Paul Winterという名前が、クジラの鳴き声と一緒にしっかりと自分の記憶に刻まれた。
その日から、幾度となくレコードショップで「ポール・ウィンター」が「クジラと一緒に演奏しているCD」を探したのだけど、そもそもアルバムのタイトルも分からず、またポール・ウィンターのアルバム自体、それほど在庫が多くないので、結局、15年以上も購入せずに至ってしまった。
ここ5年くらい、CDを購入するときは、実際の店舗でなくamazonHMVのオンラインショップで買うことが多いのだけど、HMVの「3枚買うと25%オフ」のために「あと一枚」を物色している時、ふとポール・ウィンターのことを思い出し、さっそく検索してみたが、探し求める「クジラと競演するアルバム」は在庫していないようだった。
ないと思っても気軽にその他の店舗を物色できるのがオンラインショップのよいところで、さっそくamazonで検索してみると、いちおう該当するらしいアルバムはあったものの、既に新品は売られておらず全てマーケットプレイスでの扱いで、1991年発売のものが「¥ 3,195より」、1998年発売のものは、なんと「¥ 5,884より」というとんでもない値段がついていた。amazonでこうした「とんでも価格」が設定されている理由は、たいていの場合「廃盤」ということになる。
「なんだ、もう廃盤だったのかぁ」とちょっとショックを受けつつ、ここまで調べるとなおさら諦めがたく、最後にしつこくiTunesでも検索してみたところ、なんと普通に在庫していた。しかも、価格は通常のアルバムより安い¥1,350である。いつもはクリックをちょっと戸惑うiTunes Storeだけど、この時ばかりはすぐさまクリック。まさか、HMVamazonで廃盤扱いになっているCDが普通に売られているとは、、、、これには、ちょっと驚いた。

そんなこんなで15年以上ぶりにやっと購入したこのアルバム「Whales Alive」、肝心のCMで使われていた曲が収録されているのかどうかは、記憶が曖昧で不明だけど、「ザトウクジラの歌」、「ソプラノ・サックス」、「レナード・ニモイ(アルバムの随所で、Mr. スポックのナレーションが収録されている)」のキーワードに反応する人なら、¥1,350で購入する価値はきっとある。というか、むしろ格安だと個人的には思う。そうした要素に興味がない人にも、ポール・ウィンターが奏でる優しいメロディーとザトウクジラの神秘的な歌の競演は、きっと心の琴線に触れるんじゃないだろうか。
クジラの歌に興味ある人、心の落ち着く優しい音楽を探している人には、ぜひともおすすめのアルバムです。